尾道帆布工場は尾道市の向東町(向島)にあります。かつて栄えた尾道における帆布生産ですが、化学繊維の台頭と もない需要が減り最盛期には10軒程あった帆布工場も現在では一軒のみとなりました。
この工場は昭和9年に創業をはじめて以来一貫して同じ製法で帆布の生産をつづけています。綿糸を縒るところから 整反にいたるまでの工程すべてを行う工場は現在では全国的にも珍しく、生産する帆布の種類(厚さ)も4号から 11号と豊富なのもこの工場の特長と言えるでしょう。
また工場内部の空間も印象的です。最も古い建物は火災により全焼してしまいましたが、現在でも大正末期から昭和 初期にかけて製造された機械群が現役で稼動しており一歩工場内に入ると工場建築の複雑な建て増しの状態も相まっ て何か別な時空間に迷いこんでしまったかののような感じを受けます。 時間が停止してしまったかのように雪のような綿埃が工場内のいたるところに降り積もっていますが、 今も織機の稼動する大きな音が工場内を振動させています。
尾道帆布株式会社
〒722-0062 広島県尾道市向東町1247
TEL&FAX 0848-44-2203